30代 女性
私が大学生の頃、1990年代が終わろうとしていました。
あともう少しで21世紀。
世間はミレニアムな雰囲気とともに、本当は世界が終わろうとしているのか、それとも始まりなのか、喜びと不安に満ちた時代だったと記憶しています。
そして、私は名古屋の大学にいました。
名古屋と言えば、名古屋嬢という、髪をカールしてワンピースを着る、華やかなお嬢さんが特徴の街でもあります。
名古屋の地下街を歩いていると、そんな裕福そうな女の子がたくさん買い物をしていました。
そして、手にはブランド物のバッグを必ずと言っていいほど身に着けていました。
緩やかな隣の県から来た私には、それがとても都会に思えたものです。
隣の県出身ということもあり、春休み、夏休み、冬休みなど長い休みの時には必ず実家に帰省していました。
栄という名古屋一の繁華街から、高速バスで2時間かからずに直行で帰れるのがとても便利でした。
その年のクリスマスに母親からプレゼントされたのが、ハート型のティファニーのネックレスでした。
それは20歳の私にぴったりの、大ぶりなネックレスで、私は大変お気に入りになり、名古屋に戻ってからも
毎日大学に身に着けていきました。
少しだけ、名古屋嬢に近づけた気がしました。